SPerが簡単に無難なDP譜面を作る方法
目次
はじめに
どうも、DPBMSの難易度表を管理させてもらっている@theiruです。
この文章はUさん主催の『BMS差分について Advent Calendar 2014』の為に作成しました。
イベントの内容についてはリンク先をご確認ください。
そもそもこの文章を書こうと思ったのは、同梱のDP譜面が少ないことが一番の理由です。
だからと言ってDPをやったことの無い人が作ったDP譜面というのは、難易度のバランスが極端に悪かったり、DPerが嫌いな配置が続く譜面も少なくありません。
そこでSPerが簡単に無難なDP譜面を作る方法を考えてみました。
企画の他の人と違って、自分の作り方とは違うものを紹介しますが、基本的には同じような考え方で作ってます。
この文章がきっかけでDPの同梱譜面、DP差分作者、DPerが増えてくれれば幸いです。
次のような人を主な対象として書きました。
- BMS作家、あるいは同梱譜面作成の担当になった人
- SP差分とDP差分を両方まとめて作りたい人
- SPしかやったことないのにDP譜面を作ることになった人
- SP譜面は作れるがDPではどういう配置をしたらよいか分からない人
一つ注意してほしいのは、良譜面を作りたい人向けではないです。
好まれないかもしれないが、嫌われはしないだろう、という無難な譜面を作る方法になっています。
良譜面が『楽しい配置を足し算した譜面』だとすれば、ここで作るのは『ストレスになる配置を引き算した譜面』です。
もちろんある程度は楽しい配置が自然と出来るように工夫してみました。
ちなみに、DPはSPよりも遥かに個人差が大きいため、簡単とか難しいとか楽しいとか、人によってかなり違います。
ここでは筆者の個人的な意見をもとに、嫌らしい配置や難易度を定義して話を進めていきます。
大ざっぱな流れは次のような感じです。
- SP譜面を2つ作る
- DP譜面をどの程度の難易度に落ち着かせるか決める
- DP譜面用に調整する
なお、上の方法だと☆10~☆12くらいの譜面が出来上がると思います。
☆10未満の譜面については詳しく述べませんが、☆1~☆6くらいの譜面なら、次のようにすれば大体OKです。
- 低難易度SP譜面を1つ作る
- 音階に沿って横に広く配置する。バスとメロディ等、違う音を叩く場合は1P側と2P側に割り振る。
- DP譜面をどの程度の難易度に落ち着かせるか決める
- DP譜面用に調整する
密度の観点から見て、SPでの難易度がそのままDPでの難易度になると考えて良いです。
ただし左右の密度が偏ると+-4くらいに難易度が変わるので、バランスよく分割することを意識して下さい。
間の☆7~☆9くらいは2種類の方法を組み合わせるとちょうど良い感じになります。
ただし下手に作ると、ほとんど☆5なのにラス殺しだけ☆10、みたいなバランスの悪い譜面になるので、バランス調整にはDPerの意見を仰いだほうが良いでしょう。
大ざっぱに作る
無骨なタイトルになってますが、まずは大ざっぱに作ります。
具体的には普段SP譜面を作るような感覚で、思うがままに1P側にSPH譜面を1曲分作ります。
そして次は2P側に余ったキー音だけでSPN譜面を作ります。
もちろん1P2Pは逆でも構いません。出来たSP譜面を使いたいなら、ファイルをコピーして片側をBGMレーンに移動させれば完成ですね。
ここでポイントになるのが次の4点。
- DP譜面になることを意識しない
- 2つ目の譜面を作る時には比較的聞こえやすい余っているキー音を使う
- 可能であれば左右同じくらいの難易度になるように作る
- SPHとSPNを作る。曲によってはSPNとSPBを作る感覚になるかもしれません。
1点目と2点目、これはDPの醍醐味『混フレ』を作るためです。
DPをやっていない人がDP譜面を作ろうとすると、変に意識をしてしまうのか、SPを左右に振り分けただけの残念な分割譜面になりやすいです。
もともと2人用譜面を1人で操作するのがDPですから、思い切って1人用の譜面を2つ作るイメージで作った方が楽しい譜面になります。
ちなみに高難易度ほどSP譜面を下手に分割しただけの譜面は嫌われます。
1曲を通じて単純な分割でも問題ないのはせいぜい☆6くらいまでです。難易度が上がるにつれて混フレの割合が増え、☆10~☆11にはほとんど混フレのみの配置になると考えて良いでしょう。
3点目、これは混フレをより楽しくするためです。
せっかくの混フレでも片方がスカスカだと混フレっぽさがなくなってしまいます。
両側が同じくらいの難易度だと、両方の譜面をしっかり見ないと叩けないので、DPならではの快感を感じやすいです。
選ぶフレーズによってはなかなか難しいですが、可能な限り同じくらいの難易度が望ましいです。
4点目、なぜSPHとSPNなのか。これは片手で叩かせる音をどう選択するか、という意識の問題です。
同じ難易度でもSPNとSPAではSPAの方が難しいと感じたことはないでしょうか?
これは叩かせる音の選び方、配置の仕方に違いにあると考えています。
SPAらしい譜面はよほど気を付けて配置しないと、片手には難しい配置になります。
というのもレーンが7つしかないので、SPAらしい詰め込み方ではごちゃごちゃした配置になりやすいためです。
一つ例を挙げます。次の譜面はモリオンの姫のSPN(☆5)、SPH(☆9)、SPA(☆10)の28小節目です。
SPN→SPHではリズムの単純なバスとハイハットが追加されています。
SPH→SPAではバスを残したまま、より複雑なリズムの乱打を叩かせるように変化しています。
SPNでは1フレーズのみ、SPHではリズムの単純なフレーズを組み合わせた混フレ、SPAでは全く違うリズムを組み合わせた混フレ、ということが分かると思います。
(ちなみにパッと見だとわかりにくいですが、SPAの2と3はハイハットです)
片手で混フレを叩くのは非常に難しいです。
さらにDPでは反対側のレーンに配置されたフレーズもあるわけなので、さらに複雑なリズムになります。
また、片側のリズムが複雑になりすぎると、どの音を叩いているのか判別しづらく、演奏感が損なわれてしまうこともあります。
DPで混フレを作る場合は、片側のリズムを出来る限りわかりやすいものにしておくのが無難です。
今回の例ではSPNとSPHで同じキー音を使っていましたが、SPNとSPHらしい譜面を別のキー音で作るとしたら次のような感じになると思います。
SPHはそのまま、SPNにはSPAで追加されていた音を配置しました。
1P側で単純なリズム、2P側で複雑なリズム1フレーズを叩く混フレになり、DP☆10~11程度のバランスの良い配置になっています。
難易度設定
次にやるのは難易度設定です。
なんでこんなタイミング?という人もいるかもしれません。これはDPでは配置次第で難易度が極端に上がるからです。
次のステップで極端に難しい箇所を簡単な配置に修正していきますが、
この時『難しい配置をどの程度残すか』の指標となる難易度をこの段階で決めることで、バランスの良い譜面にしていきます。
難易度設定の目安になるのが『難所の密度と同時押し』です。
密度は左右合わせた秒間密度です。
同時押しは配置次第でレベルが3つも4つも変わるくらいデリケートで判断が難しいので、点数を付けて判断することにしましょう。
同時押しの点数の付け方はこんな感じです。左右別々に、密度の高い箇所と低い箇所がどのくらいか計算してみましょう。
+,-,*があるので注意してください。
配置・傾向 | 点数 |
---|---|
同色2個押し | +1.0 |
混色2個押し | +1.5 |
同色3個押し | +1.5 |
混色3個押し | +2.5 |
同色4個押し | +1.0 |
混色4個押し | +2.5 |
同時押し前後8分に皿がある | (同時押しの点数を)+1.0 |
同時押し前後16分に皿がある | (同時押しの点数を)*2.5 |
16分乱打に混ざっている同時押し | (全体の点数を)+4.0 |
同じ配置の繰り返し | (同時押しの点数を)-1.0 |
同色とか混色とか言っているのは、白鍵と黒鍵の色のことを言っています。
どうして分けているのか、詳しい話は後述します。
次にどの難易度がどれくらいの密度、点数なのかを見てみましょう。
目安に小節という言葉を使っていますが、BPM150程度の4/4拍子の1小節を想定してます。
レベル | 難所の秒間密度(notes/s) | 難所1小節での片手同時押しの点数 |
---|---|---|
~☆8 | 難易度表記とほぼ同じ | 同時押しはほとんどない |
☆9 | 9~10程度 | 3.5点程度まで |
☆10 | 10~14程度 | 5点程度まで |
☆11 | 14~18程度 | 7点程度まで |
☆12下位 (九段~十段レベル) |
18~25程度 | 10点程度まで |
☆12上位 (皆伝レベル) |
25以上 | 10点以上 |
同時押しの例外として、指の移動が必要ない(=縦連)同色の同時押しであれば、この表を無視して配置しても何とかなります。
ただしそれ相応の個人差譜面になります。
DP譜面用の調整
大ざっぱに譜面が出来上がっていますが、場所によって極端に難しい箇所があったり、簡単な箇所があったりすると思います。
また、ここまではスクラッチを無視して説明してきました。
これらをDPならではの難しさを考慮しながら調整していきましょう。
基本的には難しい箇所・高密度な箇所を叩きやすく、極端に簡単な所は叩きにくい配置を増やすようにします。
ちなみに簡単な箇所を無理に難しい配置に修正する必要はありません。
同じノート数でもSPよりDPの方が疲れやすいので、適度な回復がある方が親切です。
目標の難易度の目安と比べて、あまりにも密度が低く、簡単な配置が長く続くような場合は難しくすると良いです。
では下準備として、まずは大ざっぱにDPらしい展開にしましょう。
現時点ではまだSP譜面を2つ並べただけなので、どちらかにしか出ていない配置というのが沢山あると思います。
特に片側だけが難しい展開が長く続くような場合には、適当な所で左右の譜面を入れ替えます。
全く同じ配置が続いてしまうような場合でも飽きにくくなる効果もあります。
次の曲でも0:24~1:00という長時間に渡って、ほとんど同じ配置が左右交互に降ってきています。
片側がずっと同じ配置でも、反対側が違う展開をしてさえいれば、全体も違った展開をしているように感じます。
ちなみに今回の作り方なら無いと思いますが、
ピアノの配置をそのままDPとして配置したような構成になっている場合は、あえて入れ替えない方が面白かったりします。
次は同時押しや乱打の押しやすさを調整していきます。
押しやすさは実際に手を置いてみると良く分かります。
鍵盤に左から1234567と番号を付けると、12467の位置に指を置くのがホームポジションと言われる基本的な置き方です。
もう一つのホームポジションとして13457という置き方もあります。こちらは4がやや押しにくいです。
では押しやすい配置と押しにくい配置を確認していきましょう。
左は自然な手の置き方で押せる配置で、右は手に負担のかかりやすい難しい配置です。
左はホームポジションか、指を1本だけ曲げたり動かしたりすることで形を作れます。
右は指を2本以上動かしたり、手首も動かさないと形が作れないので難しいです。
当然ですが、右の配置にゴミが付くとさらに難しくなります。
いっぱいあってわかりにくいですね。
手っ取り早く判断するには、23や56の位置に隣接配置があると難しい、と考えると良いです。
他にも、認識したりとっさに手の形を作るのが難しい配置を確認してみましょう。
桂馬押しや隣接押しが並んでいます。
桂馬押しは押す時の手の負担自体は軽めなのですが、人差し指と薬指の動かし方がちょっと難しいです。
隣接押しは手が窮屈になりやすいのと、DPが14レーンと広く配置できるためにあまり見ないので、反応しづらいです。
これらの配置は多用するといやらしい譜面になりますが、1フレーズに1~2個くらいであれば適度な緊張感を与えられます。
ただし☆9以下ではあまり頻発しない方が良いでしょう。
そのくらいの難易度の同時押しは、ホームポジションのまま押せる同色の同時押しが多いです。
以上の配置を参考に、押しにくい配置を目標の難易度に合わせて修正していきましょう。
このときのポイントとして、運指の切り替えを意識して修正します。
これは例を使って説明します。
次のような配置が1P側にあるとします。
全て同色の同時押しなので、それぞれの同時押し自体は簡単です。
しかし、実際のプレイでは次の配置に備えた手の形で押す場合がほとんどです。
この予備動作を考慮するために、餡蜜したような配置として見て手の形を考えます。
前後両方の関係を見るため、餡蜜の見方は次の二通りです。
指を置いてみればわかりますが、なかなか押しにくい配置です。
このように次の配置に備えた指の形を作りづらい時は、運指を切り替えて押しています。
今回の例では、前述の2種類のホームポジション(12467か13457に指を置く)を交互に入れ替えて対応します。
意図的に忙しくしたいのであればこのままでも良いですが、簡単にしたい場合は次のような方法が考えられます。
- 同時押しを減らす
- 反対のレーンが簡単なら左右に分割する
- 予備動作のしやすい配置に変える
このように、音階を残しながら押しやすい配置に修正できました。
もう1つ、同時押しではないですが、階段の例を挙げておきます。
同じく1P側に、ごく普通の純正階段と、先ほどと同じように餡蜜して見た時の譜面があります。
さっきの例ほどではないものの、手の形が作りにくい配置が並んでいます。
大抵は運指の切り替えをして叩いたり、3と5を親指で叩いて対処します。
しかし、運指の切り替えを使う方法はかなり忙しくなりますし、親指を3の位置まで移動させると手首の位置が動くので崩れやすくなります。
階段は難しい分、綺麗に叩けると気持ちよいのですが、次のようにもう少し叩きやすい配置も作れます。
逆に叩きにくい配置も作れます。
餡蜜譜面を想像すれば、元の階段とは違う難易度になることが想像できると思います。
このように、同じ密度でも全然違う難易度になるので、運指の切り替えを意識して難易度を調整しなければいけません。
最後に皿の配置を調整していきます。
DPの皿というと、無理皿はダメで、隣接皿にしないといけないイメージがある人が多いかもしれません。
もちろん無理皿はかなり難しいのですが、実は隣接皿もかなり難しいです。
理由は2つあると考えています。
- ミラーやランダム系オプションを付けると無理皿になる
- 着地が難しい
1つ目は分かりやすいですが、2つ目はどういうことでしょう。
これは、鍵盤から皿への移動をする際に許容される『あそび』の大きさにあります。
分かりやすくするため『親指の位置』に注目して手をどう移動させるかを考えます。
皿のみの場合、赤く囲んだ場所ならどこへ移動しても皿を取ることができます。
一方隣接皿の場合はこうです。
皿のみの場合に比べて、隣接皿の場合は正確な着地が要求されることが分かると思います。
同様の理由で、鍵盤→皿の移動よりも、皿→鍵盤の移動の方が難しいです。
皿→鍵盤の時に同時押しがあると、さらに正確な着地が求められるので難易度がはね上がります。
もう一つ、SPerが作ったと思われるDP譜面によく見られる配置として次のようなものがあります。
この配置はSPerが思っている以上に難しい配置です。理由は2つあると考えています。
- 手首の向きが苦しい
- この位置に手がある状態に慣れていない
SPをやる時に、体の重心が皿の方にある人もいると思います。これは、その方が手首が楽だからですね。
しかしDPでは体の重心どころか、体自体が皿ではなく鍵盤の方にあります。
この立ち位置から皿を操作すると、手首をかなりひねらないといけません。
また、普段手の位置は鍵盤の上ですから、隣接皿を取るような位置に手がある状態に慣れていません。
手が慣れない位置にある難しさは、SPでもBSS+鍵盤などで体験できると思います。
(ちなみにさっきのような配置は(個人的に)難しいうえ単調で面白くないです。いっそ無理皿の方がやりがいがあって楽しいと思います。)
ここまで隣接皿の配置が難しいことを説明してきました。
では皿に手入れをしていきましょう。手入れと言っても簡単です。
無理皿or隣接皿になっている全ての皿を鍵盤かBGMレーンに移動させます。
皿を残す場合は、同時押しになる鍵盤を全てBGMレーンに移動させます。
もちろん無理皿や隣接皿を残す選択肢もあるのですが、変な所に入れると嫌な印象しか残らないので、皿をなくすのが無難です。
譜面の調整はこれで終わりました。
あともう一つ、totalの決め方について簡単に補足しておきます。
DPでは5本の指で7つの鍵盤を叩かなければならないため、押せない配置が来るとpoorが大量に出ます。
SPでは適当に押すとbadになってくれますが、DPの押せない配置は手が止まります。
SPは本家基準よりも厳しいtotalを付けてある譜面をよく見かけますが、DPは本家基準そのままのtotalを付けてある譜面が多いです。
これにならって本家基準のtotalを付けておくのが無難です。
まとめ
いかがでしたか?
ちょっと予想以上にボリュームのある文章になってしまいました。
SPerが分かっていなさそうなDPの難しさを中心に解説したつもりです。
要点をまとめるとこんな感じです。
- 混フレを作るため、簡単なSP譜面を2つ作る
- 難しいリズムの混フレを片手で叩かせない
- 23や56の配置になるような同時押しや乱打は避ける
- 無理皿と隣接皿は避ける
文章は流し読みでもこの4点に注意して作れば、そこそこ無難なDP譜面が作れると思います。
もしこの記事を見てDP差分を作ってみたという人は是非『DPBMSアップローダ』をご利用ください。
DPはプレイ人口は少ないですが、きっと誰かがプレイしてくれるはずです。
それでは、拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。